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契約-side:Diamond dust

2007.12.17 *Mon
今週の本誌発売前に書き上げた事を烙ちゃん、非常に嘆いてました。前回に引き続き、淙烙様の作品です。袖白雪の本体が緋真さんだったらネタ。緋真さん可愛いです。






暗く、冷たいところだった。
恐怖に怯える緋真の目の前で、突如として氷が舞い降りた。それはばらばらに砕け、そしてその破片から何かが形成されていった。
それはやがて人形をなし、眼を開いた。
《――……傍に、いたいですか?》
澄んだ色の声が、凍てつく空気を経由した。緋真は答えられず、しかし目の前の姿――深い深い、闇をも抱いたような翡翠の双眸に惹き付けられていた。
《いたいですか…? 妹の許に…夫の許に…》
その台詞に彼女ははっとした。
《もし…貴方が望むなら…そのようにすることもできます……》
但し、代償は大きい。氷と雪の肉体を持つその人は言った。
相手には己れが元々何であったかはわからない。こちらの記憶だけが残り、それを口に出すことは許さない。ましてや、どれほど永く待つかも不明。ただ独りで、この寂しい空間の中、待ち続けるのが運命づけられる。
《それでも良いと言うのならば…翁が授けましょう…》
迷う間など、なかった。
「それであの子の傍にいられるのなら…今度こそ、あの子を守れるのなら」
それくらいの代償、投げ出せる。
強い信念を持つ緋真に、ソレは微笑みかけた。
《貴方の想いは受け取りました…直ぐにでも、術式を開始致しましょう…》
左の掌の上に右手を乗せ、そのまま直線を引くように腕を移動させると、そこには一振りの斬魄刀が存在した。
緋真はその美しさに釘付けになった。柄も、刀身も、純白で塗り籠められた刀。
《袖白雪――此れが貴方の宿るモノです…》
その人はゆっくりと緋真に近づいて、彼女の両手に刀を預けた。
《何れ、貴方の大切に想う者が、この刀を取るでしょう…》
本当は、どの刀がどの人を択ぶかは、その時になってみないとわからないものなのですけどね。
小さく笑うと、鈴にも似た氷がしゃらしゃらと音をたてた。
《その辺りは、翁が根回ししておいて差し上げます。我が主とて、そうお怒りになりますまい》
「……主…?」
口元に微笑を刻み続ける存在が主と呼ぶのだ。それは即ち、この空間の主ということだろうか。
《いいえ。此処はあくまで翁の世界。主は、翁の主です》
緋真の思考を読み取った上での回答は、彼女を更なる混乱に陥れた。不可解そうに眉根を寄せる様子に、何れ解りますよ、と告げる。
その容姿が、緋真の記憶の琴線に引っかかった。
「……あ…」
この、姿は。もしや。
その先を口にすることはなかったが、緋真は確信を抱いていた。
《さて…そろそろ狭間(ゆめ)の終わりです…袖白雪…貴方に、翁と我が主の加護があらんことを――》
そして、緋真の意識は途絶えた。




それから何年もの間、彼女は彼女としてではなく待ち続ける。
暗く冷たい世界で、この名を呼んでくれるまで、ずっと――。
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